009: More on the 3A5 transceiver (Addition of 3A5 crystal controlled 35mW transmitter unit)

 手元にもう一本3A5が有ったので、水晶制御式の2ステージ送信ユニットを空きスペースに組み込んだ。完成した自励式単球トランシーバの変調波はFM成分がめっぽう強かったので、QRPPとは言えまともなAMも出せるようにしておきたいと思ったからだ。

 発振段はピアス回路ではGKでもGPでも全く発振しなかった。やはり3A5のgmが小さすぎるのだ。帰還巻線を持つオーバートーン回路でようやく動作したが、帰還量を多くしないとなかなか安定して発振してくれない。得られた出力も高々+7~8dBm で、これを残りの半分でストレートアンプして得た出力は当初+18dBm(60mW)だった。これを3A5のオーディオアンプでモジッてみると・・・変調が浅いのである。変調度は40%ほどだろうか、とても実際のQSOに供するようなレベルに無い。

 波形や電圧レベルをチェックしたところ、二つの問題が判明した。第一に変調管の出力が1:3トランス出口で最大13Vrmsしかないこと。これでは自励発振器にFMっぽいAMを掛けることはできても、プレート電圧69Vの三極管アンプをハイシング変調で十分に「モジる」には力不足である。二番目は終段の中和が必要なこと。終段のゲインは高々10dBでかつCpgが大きい(3.2pF)からニュートロをとってないと筒抜けして変調のボトムが詰まってしまう。そこで中和を施してから、終段のプレート側に5kΩと10µFをパラにして挿入した。これはハイシング変調では多用されたやり方で、プレート電圧は25Vほど電圧降下してキャリア出力は落ちるが、変調オーディオはそのままなのでその分変調度は上がるというもの。出力は3dB低下して+15.6dBm(僅か35mW)となったが、これでようやく80%以上の変調度を得ることができた。終段のプレート同調回路はパイマッチで負荷Qは約10、タンクコイルには発振用コイル同様に小さな10Kタイプ(実測Quは85)を使った。第二高調波は-44dB、それ以上は-60dB以下で問題ない。

 BC610の筐体に両者をインストールした感想は、かつてどこかのキャッチコピーに有った「一粒で二度美味しい」。ビビッドなFM変調音の自励式も、力強さには欠けるもオーソドックスな変調音の水晶制御式も、恐らく60年前と変わらないだろう独特の持ち味を再現してくれている。製作は2018年。



I added a crystal controlled 3A5 two stage transmitter unit in the BC610 box of reproduced 3A5 super regenerative single tube transceiver. It’s 50.5MHz mono-channeled, and the output power is only +15dBm (30mW). To get a deeply modulated signal with the hysing modulation circuit, the neutralization is a must, and 5KΩ and 10µF connected in parallel are inserted into the anode line. The Pi-matching network is employed in the final stage, and the second harmonics is -44dB to the purpose signal. Frankly speaking, I could fully enjoy this 3A5 transceiver reproduction project. That was really fun two months. Making is in 2018.

 

 

 

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2018年05月17日