011:28MHz SSB 10W transceiver (remodeled 27MHz CB radio)

 1978年師走のある日、秋葉原の店頭で投げ売りされていた輸出用CBジャンクの中にSSB機を見つけた。その23CH機は当時主流になりつつあったPLLシンセサイザではなく、古典的な水晶シンセサイザ方式で、7.4MHz帯と11.7MHz帯の水晶発振出力をプリミックスした後、その出力19.1MHzにRIT用水晶VXO(15.7MHz帯、可変範囲3KHz)の出力を混合して34.8MHz帯の局発信号を作り、7.8MHzのIFを下側ヘテロダインで27MHzCBバンドに変換するシングルコンバージョンのトランシーバだった。

 このセットで28MHz帯SSBにQRVしてやろうと、試しにVXOの水晶を17MHz帯のものに変えてBPFを調整したところ、ほどなく36MHz帯のローカル信号が出てきたと思う。Pバルの読みを頼りにコアを調整しただけだったが、あれから40年後の今になってスペアナで見たところ、局発出力が思ったよりクリーンなので驚いた。水晶発振部にはバッファアンプなど無く、ミクサは全部バイポーラのシングルエンド構成、各BPFは2~3連の複同調だがややチープな作り。製造コストを優先し、可能な限りシンプルにした印象が強い。にもかかわらずこれだけのクオリティを出しているから、周波数の設定や動作点/レベル配分、更にコイルや実装パターン設計など、基本設計の質はかなり高いということだろう。

 送信出力はPEP10W(2SC1307)。7.8MHzのクリスタルフィルタはAM共用の5kc幅だがAF回路で極端にローカットしているので硬い感じの送信音である。送信スプリアスは28MHz の二倍と三倍高調波がそれぞれ-60dB出て来るが、それ以外は見えない。受信感度は-20dBµでもS/N良くピーピー受かり、復調音声の明瞭度も高くてFBである。ただしAGCレンジが狭いのが難点で、強い局との交信ではRFゲインを絞る必要があった。
 サイクル21がピークにあった1980~81年、車にローディングホイップを取り付けてモービル運用したが、早朝の北米との交信は快適だった。夕方会社からの帰宅途上でCQを出したら欧州から次々に呼ばれ、路肩に止めて冷や汗をかきながらQSOしたことも。

 自作品ではないが、アナログ全盛時代に作られた水晶シンセサイザ機はもう珍しい存在なのでここに展示することにした。なお、米国CBチャンネル独特の「周波数歯抜け」状態を解消するため、シンセサイザの水晶も修正した。更に17MHz帯VXOの可変幅を11KHzまで広げ、最終的には28.450~28.690MHzを10KHzステップで連続カバーできるようになっている。



This is a 10m SSB transceiver remodeled from a 27MHz CB radio. CB rig were manufactured in quantities in Japan and exported to USA in 1970 s.

A local oscillator was a crystal synthesizer of old design, not PLL. So it was relatively easy to modify the frequency to 28MHz of amateur band. As a loading whip was mounted on the roof of my car to operate a mobile station in 1980-81 of cycle 21, I really enjoyed the 10m mobile DX. The contact with North America in the morning was comfortable in particular. One day during my driving the way home from work, I called CQ and spend an exciting time to get many calls one after another back from Europe. It was wonderful.

Frequency range is 28.450 to 28.690 continuously covered in10 KHz steps. VXO variable range is 11 KHz. Output power 10Watts PEP, receiver sensitivity -20dBµV, IF bandwidth 5 KHz. It was remodeled in 1979 while I was in Tokyo.

 

 

 

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2018年12月02日